別の世界に続いている
たった一つの出入口みたいに
太陽が空に丸い穴をあけて
霧は吸い込まれ街は目覚めた 
(Saturday/稲葉浩志)

最初この歌詞を聴いたとき、「すげぇ…」って思いました。スポーツ選手が超人的なプレイをしたとき、「すごい!!」って感動しますよね。それに似たような感覚で感動しました。こんな歌詞、私が100年かけて勉強しても思いつかない表現です。

このフレーズってものすごく簡単に言うと「朝になった」ってことですよね。いつもの土曜日、いつもの朝が来たという日常を、「別の世界に続いている」「太陽が空に丸い穴をあけて」のような非日常的な描写で表現しています。つまり、「君がいなくなった世界」が今までとは大きく違った世界に感じているのかな~と思いました。また「太陽が空に丸い穴をあけて」というのも、太陽が「穴」に見えてるあたり、君がいなくなってぽっかり開いた自分の心の穴を投影させているのかな、と感じます。私はね。ただ、「朝になった」という言葉だけならここまで想像力は広がりません。比喩表現があるからこそいろんな想像を掻き立てられます。私は結構しつこいくらいの比喩表現が好きです。比喩表現フェチです。

あと、この歌詞って一人称がないんですよね。「君」と「みんな」は歌詞に存在しているのに「僕」だけが存在していないから、本当に世界から自分の存在がいなくなったような空虚感も漂います。そして一人称がないからこそ「君」という存在が強調されてるような気がします。


最初、この歌詞は理解するのが難しくて。「"君だけが足りない"と、そう思えることもまた幸せかも」…え~!どこが幸せなのー!?って思ってたんです。「君がいない」という寂しい歌詞なのに曲調は明るくて、しかも「幸せ」とか「明日への望み」とか前向きなフレーズがある。なんでぇ~?って思ってたんです。なんか今日突然ひらめきまして。「あぁ。そうか。失って初めて幸せに気付いたのかも。」って。君を失って「寂しい」とか「愛情」みたいな鮮やかな感情が光りだして、失ったからこそその時の幸せに気付いた。幸せとは常に「結果」で、現在形にも未来形にもなりえない。失って幸せに気付いたとき、その時点が「幸せ」なのかも、と。

「君だけが足りない」、そう思えることが「幸せ」であったり、「寂しさ」と「望み」、「孤独」と「華やか」、「絶妙」な「不完全さ」。稲葉さんの歌詞って常にマイナスとプラスが表裏一体で、矛盾した感情をダイレクトに伝えてくるからすごく深読みしちゃうし、インパクトがあります。Saturdayも結局前向きなのか後ろ向きなのかどっちかわからない感じが好きです。

新曲もどんな歌詞なのか、楽しみです。