近頃の傾向で、人生において足し算ばっかり重要視されてると思うんです。「才能が欲しい」「能力が欲しい」「技術を身につけたい」「実力をつけたい」。もちろんこの足し算は重要なんだけど、それと同じくらい引き算も重要だと思うんです。で、この引き算をせずに足し算ばっかりしようとする傾向があるような気がします。私自身も含めて。「変なプライドを捨てる」「過去の栄光を捨てる」そして「大切な人と別れる」ことも人生において大事な引き算。今ちょうど、卒業入学シーズンですけど、「私、友達と別れたくないから卒業し~ない!」なんて言ってたら一生前に進めないのは自明の理。これはまぁ極端な例だけど。別れがあるから新しい出会いがある。何かを足していこうと考えるなら何かを引いていかなきゃいけないんです。足し算は努力で、引き算は勇気でできるものじゃないかなって思います。

B'zのBlack Coffeeの歌詞って「引き算」になってると思うんです。

「なんとなくお互い疲れてしまうけど、明日になれば関係が修復してるといいな。笑いあえてるかな。これからもずっとうまくやっていけるかな。」という甘い夢を捨てて…。

「さよならしよう。誰も恨まない、憎まないで。優しい思い出は優しいまま、きれいにさよならしよう」という思いも捨てて。

正直な思いを残らずぶつけあい
悔いが残るほど傷つけあい
それでも少し前に進む
そんな運命 シブい運命


この「悔いが残るほど傷つけあい」って言葉がぞっとするインパクトがありました。難しい言葉は使っていないのに強烈ですよね。傷つけずに別れるって一見優しさに見えるけど、1%でも未練を残してしまうと「またやり直せるんじゃないかな…」という甘い夢に逆戻りしてしまう。自分の中の、相手の中の二人の優しい思い出もすべて削除してようやく新しく出発ができる。前進するには悔いが残るほど傷つけあうしかないのかもしれないです。

で、「ノミホソウ」という単語が甘い夢やら苦い思いやらを打ち消す役割を果たしてる気がします。飲み干したら自分の中に入るわけだから足し算じゃね?って思うかもしれないけど(笑)。う~ん、なんて言えばいいのかな。私のイメージでは

明日には変わってるかもよ?
くだらない誤解だって笑ってるかもよ?
こんな甘い夢、どうする?ずっと大事に保存しておく?
いや、ノミホソウ

だれも憎まない、恨まない
優しい思い出をそのままにさよならしたい
そんな苦い思いをどうする?保存する?
いや、ノミホソウ

と、飲み干してどんどん消去してるようなイメージ。
そして「正直な思いをぶつけて、悔いが残るほど傷つけあう」というシブい運命だけが残る。また巧いことにこのシブい運命だけは飲み干してないんです。かわりに「黒い珈琲 苦い珈琲」をノミホソウ、というわけです。そうやってタイトルとつながっていくんですね。そう思うと最後の「黒い珈琲」や、タイトルの「Black Coffee」の意味も、コクの深い味わいになりますね。


おあとがよろしいようで。